TwitterがXになったあたりからそろそろSNSから離脱する人がいたけど、
トランプが大統領になって、メタがファクトチェックをやめて、
本格的に離脱する人が増えそう。
日本だと、東日本大震災がSNSユーザー増加のきっかけだった。
あのSNSが隆盛の時代を象徴するのが、「丸いアイコン」ではないだろうか。
丸いアイコンがタイムラインに並ぶと、
有名人も一般人もお構いなく一見平等に見えた。
もちろんそこにフォロワー数の多さという差はあったのだけど、
そこには一発逆転の余地もあった。
丸いアイコンと140字で競い合う大喜利。
そこで鋭いことを言えれば、出版したり、
テレビに出たり、お金持ちになったり、社会が動いたりする可能性のあった時代。
インターネットメディアでは、ライターは同じように丸いアイコンで表されていた。
丸いアイコンの中でいかに自分をアピールするかも原稿と同じくらい力を入れていた。
写真家に撮ってもらった決め決めなショットなのか、
友達に撮ってもらったリラックスした自然体な姿なのか、
知的でアンニュイに見えるような横顔で攻めるのか。
その人となりを、文章よりもその丸いアイコンの中で発揮しようとしていた。
確かマッチングアプリのプロフィールも丸いアイコンじゃなかったっけ。
丸いアイコンのなかに世界観を詰め込んで、
全世界に人となりをアピールしていた時代。
このつまんない毎日を、丸いアイコンでインターネットをかけめぐって、
一発逆転の可能性を狙ってた時代。
今から見ると、なんだかお気楽だったな。
インターネットはたくさんの楽しい時間や、
学校や職場では得られなかった出会い、
一人ではアクセスできなかった知見を与えてくれた。
けど、インターネットで遊んでいるうちに、いつのまにか15年近く時が流れて、
気がつけば、オールドメディアは崩壊寸前、本屋はバタバタ潰れて、
現実から情報を手にいれる手段がどんどんなくなりかけてる。
おまけにインフラはボロボロ、町はガラガラで、
肝心の見てくれる人だってそのうちいなくなりそう。
現実に戻ろうったって、その現実がなくなりそうだ。
まあでも、現実がなくなったってAIがある。
じゃあAIにいろいろ教えてもらえばいいかってならないのは、
もうネットのドリームの先を見ちゃったからなのかもしれない。
AIがもたらすものがドリームだけじゃないっていうのは、
今更言う必要なんてないくらい、いろんな人がすでに指摘している。
現実にもインターネットにもドリームはなくて、
いろんなところに作りまくった丸いアイコンが
夢の残骸みたいに漂っている。
アカウントを削除しようにも、パスワードが思い出せない。
そのドリームごと、忘れてしまった。
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丸いアイコンの時代の終わり
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