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Channel: こけし日記
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職業は日本語教師

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小説家の大滝瓶太さんの「作家と名乗れば作家になれるのか」という文章を読んだ。
すこし長いが、この部分が印象に残ったので引用させてもらう。

 ずっと悩んでいることがあって、それは「ぼくは作家なのか?」ということだった。じつは「作家」を自称するようにしたのは去年からだ。それまでは文筆家とかライターとかそんな感じでぼかしていたけれど、早川書房のミステリマガジンに小さな批評を寄稿したとき、「作家」という肩書きで紹介してもらえた。それがちょっとしたきっかけで、同時に感じたのは「作家」と名乗らなければ「作家の仕事」はもらえないということ。肩書きなんて他人に決めさせればいいだけの話に過ぎないとはいえ、実務上の問題としてどう名乗るかによってもらえる仕事は変わってくる。だから「作家」と名乗ることにして、「たべるのがおそい」に短編が掲載されたことをデビューっていうことにしている。

 しかしながらじぶんで「作家」と名乗ったからといって、商業的な意味で他人が作家と見做してくれるかどうかはまったく別の問題だ。

私も作家って名乗らないと作家の仕事は来ないと思って、作家と名乗っていたけど、それに対してなんだかな~という気持ちが最近はある。
というのも、今年に入ってから原稿料をもらって商業媒体で文章を書く仕事をほとんどやってないからだ。

今は日本語教師をやっていて、週5で勤めてる。
週5でやってると取材に行けないのでライターは休止状態だ。
原稿料をもらって文章を書く仕事はやってない代わりに、自分の作品制作をしてそれを通販とか出店イベントで売ったり書店に卸したりしてお金をもらっている。
ふと、それって作家って言わなくてもできることじゃない?と思った。

前は自分の文章でお金をもらいたかったら作家って言わないとダメと思って、作家って言ってた。そうすると、書きたいことがあるから書くっていうよりも、肩書に作家って載せたいからお金をもらって文章を書きたいみたいな本末転倒な感じになってしまう。
それって全然意味なくない?と思った。

前は作家を仕事にしたかった。
けど、今は作家を仕事にしたいかっていったらよくわからない。
そりゃ文章でお金もらえたらうれしいけど、そのために無理に売りに行ったり、営業活動のためにSNSをめちゃくちゃがんばったり、無理に急いで作品作ったり、そういうのはあんまりしたくない。
けど、それだと仕事にならない。

前はしたいことだけで稼いでないと半人前とか、文章で稼いでこそ一人前の作家幻想みたいなものがあったと思う。だから作家という肩書にもこだわっていたし、それで稼げるようになりたかった。
だけど、今はもうそういう時代じゃないし、自分がもう作家を職業にしたいという気持ちがなくなってしまった。

肩書がいるからライターとか編集とか作家とか文筆家とか、掲載されたプロフィールでその仕事してますみたいな顔してるけど、自分の中での職業はもう日本語教師だ。
今は日本語教師スキルアップしたいしステップアップしたい。
それを作家で挫折したから日本語教師に鞍替えしたみたいに自分の中で捉えていたけど、自分の中で仕事にしたいことの優先順位が変わっただけだということに気づいた。

だから今の自分は日本語教師をやりながら文章を書いている人がいちばんしっくりくる。



 


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