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Channel: こけし日記
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「ファッションから見るジェンダー」に行ってきました(2025/03/01@奈良女子大学)

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先月、奈良女子大学で開催された『東大ファッション論集中講義』の平芳裕子さんの「ファッションから見るジェンダー」という講演会に行ってきました。


テーマは「服からジェンダーを見る」というもので、どうして女性はスカートで男性はズボンか、その起こりはどこにあったのかというお話でした。

特に興味深かったのが、産業革命の起こりが衣服の生産から始まったということでした。
私は以前から服の自給に興味がありました。

yagakusha.thebase.in


また、家事における衣服の調達についても興味がありました。
昔は糸をつむいだり、機を織ったり、衣服を縫ったりするものだったと思うのですが、
それが繕いものや洗い張りになったり、ミシンの登場で手作り服が流行ったりして、
やがて今ではTPOと季節と好みにあったものを購入するというふうに変わってきました。
家事における衣服の分量が少ないのはどうしてだろうと思っていたのですが、
産業革命で最初に外注化されたのが衣服であったと気づいて、非常に納得しました。

もう一点興味深かったのが、女性はドレス、男性はスーツという服の基準が、市民社会の誕生と切り離せなかったということです。
この起源はフランス革命の貴族社会への抵抗として起こったものだそうです。
そして日本では近代化する際に西洋の規範を取り入れたために、服が個人のアイデンティティや合理性を追求するというものよりも、規則や規範として従うものとなり、その規範はより強くなったそうです。

以前、男性の体形の人が着られる女性服ブランド・ブローレンヂさんの本のお手伝いをしたことがあります。

yagakusha.thebase.in
その際に、服を作る時のトルソーが違っているため、女性服のトルソーを使ってサイズの大きい服を作っても、男性の体形に合うわけではないというお話をされていたことが印象に残っていました。

平芳先生のお話によると、ファッションが性別をより強化し、意味を与えるのは、男性服と女性服と分かれて生産されている産業構造も大きくかかわっているそうです。
布に性別があるわけではなく、社会の側が服に意味を与えているという指摘に、改めて深くうなずかされました。

服はやっぱり、いまでも西洋近代のモデルに囚われています。
もしそれから解き放たれたら、人々はどんな服をまとうのでしょうか。そんなことを想像すると、服にはいろんな可能性があると気づかせてくれた講演でした。

 


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