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Channel: こけし日記
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2024年の4冊

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毎年やっている去年読んで面白かった本の紹介です。

 


映画をたくさん見ようと思ったのと積読消化につとめていたので、本はあまり読んでないので例年より少なくなった。

戒厳

四方田犬彦が1979年に韓国の大学で日本語教師をした体験記。
今は有資格者じゃないと海外で日本語教師が難しいと聞くけど、当時は有資格者でなくても日本語が教えられたみたい。
日本で教えるなら基礎からだけど、現地だと基礎のところは韓国語で勉強できるから会話とか日本事情が教えられる方が重要だったよう。
今のように教科書や教材が豊富でなかった時代に、ポップスや文学を使って授業する様子が興味深かった。

また、キーセン観光に来た日本人男性刊行客に、韓国語でいさめるエピソードは考えさせられた。自分の教えている相手と同じ目線に立つってなかなかできない。
最初は戒厳令に興味があったけど、思わぬ収穫があってよかった。

 

りんどう

らんたん・そさえてさんが作っている映画系zineの第一号。水木洋子特集だったので買ってみた。水木洋子の映画って、『浮雲』と『おとうと』しか見たことがないけど、結構原作のいいところをうまい具合に映画にしていて、映画として別の素晴らしい作品にしていて、そこがすごいなと思った。
トークイベントもすごくよかった。映画ってまだまだ男性のカルチャーって感じがするので、女性批評家とか、映画について語る女性とか、女性が映画について語る場がもっと増えてほしいな。

狼煙を見よ

ノンフィクション作家松下竜一による東アジア反日武装戦線のリーダー格の大道寺将司のノンフィクション。もう話題になってないけど、2024年のニュースで東アジア反日武装戦線の桐島聡が名乗り出たというのがあった。ずっと見ていた指名手配犯の写真が消えたのが、時代が変わったなって感じがして、結構自分的には大きなニュースだった。

東アジア反日武装戦線は日本の経済的植民地主義を批判するといって、いろんな企業に爆弾テロを仕掛けた。何年か前にそれをテーマにした『狼を探して』という映画を見たときに、主張はわかるけど計画もやり方もずさんで、関係ない人を巻き込むテロというのはどうなのかと思ってしまい、ずっと心にひっかかっていた。
それでこの機会にと思ってノンフィクションも読んでみたけど、やっぱり納得できなかった。

とはいえ、この本の主人公の大道寺将司は北海道出身で、アイヌが和人によって支配されたことを批判している。北海道は移住者による植民地であるという視点は、パレスチナの問題にもつながり、重要な指摘だ。
でも、犠牲者を思うと、たとえそれが支配者側の企業の従業員であったとしても、やっぱり無関係の人を巻き込むのはどうかと思ってしまい、犯人たちに肩入れするのは自分は無理だなと思ってしまった。

 

もぎりよ今夜も有難う

ドラマ『海に眠るダイヤモンド』で、片桐はいりが映画館のもぎりの役をやっていて、おっと思った。
片桐はいりは、学生時代にずっと映画館でもぎりをやっていて、今もときどき飛び入りで東京の劇場でもぎりをやらせてもらったりしているらしい。
この本は片桐はいりのもぎり時代の思い出を述べたものなのだが、15年くらい前に一度読んだのだが、この機会に読みたいと思って再読。
映画愛と、劇場愛にあふれていて、映画っていいなあとか、何かに夢中になるってすごく素敵で楽しいことなんだなって思わせてくれる。

今年もたくさん面白い本が読めたらいいな。

これまでの記録はこちら。

 

kokeshiwabuki.hatenablog.com

 

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