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Channel: こけし日記
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謝謝老師

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私の地元には映画館が3つあった。
今住んでいる市には一館も映画館がない。
しかし、私の地元はそこより小さく、人口も少ない。
それなのに、80年代には3館も映画館があったのだから驚いてしまう。
そのうち東映系の映画を上映する1館は物心ついたころには潰れてしまった。
しかし、洋画を上映する劇場Oと邦画を上映する劇場Gは
まだ90年代には生き残っていた。
劇場Gの入り口には、映画の名場面を切り取ったスチール写真が飾ってあった。
入れ替え制ではなくて、一度券を買ったら、ずっといられた。

それまで見ていたのは、『タイタニック』とかジブリ映画のようなメジャーな映画ばかりだった。
当時好きだったファッション雑誌に古い外国映画や若手の監督が撮った日本映画が紹介されていても、なんとなく敷居が高かった。

当時はミニシアターブームだったが、それは海の向こうの遠い世界だった。
雑誌の映画紹介コーナーで紹介されるような映画は地元の映画観館ではやっていないので、岩井俊二も香港映画も見るのはレンタルビデオだった。
しかし、いつまでたってもレンタルビデオにならない作品も多くあった。

私の映画への敷居を下げてくれたのは大学での授業だ。
第二言語で中国語を取っていたが、文法や中国の話よりも、見せてくれた映画の方が記憶に残っている。

チャン・イーモウ『菊豆』
ピーター・チャン『ラブソング』
当時はやっていた香港映画もいろいろ見せてもらった。
タイトルは覚えてないけど、台湾映画もあった。

語学の授業でいろんな映画を見せてもらって、いろんな映画を知った。
それまでは映画への敷居が高かったけど、それは見たいと思える映画に出会えていなかったり、見方や選び方がわからなかっただけなんだとわかった。

語学の方は結局1年みっちりやったのに、当時は苦手意識が強く、自分からこれ以上勉強しようという気にはなれなかった。
使う機会もなく、自己紹介や基本的な挨拶や短文が少し言えるくらいで、さっぱり身につかなかった。
けど、映画を見ることは身についた。

先生にとっては、狙った教育効果ではなかったと思う。
だけど、私はそのことにとても感謝している。

謝謝、老師

 

・・・


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