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名前のない関係 『スーベニア』しまおまほ

しまおまほさん『スーベニア』を読みました。

 

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しまおまほさんというと、祖父母は島尾敏雄島尾ミホ
両親は写真家の潮田登久子島尾伸三というクリエイター一家。
高校生の頃『女子高生ゴリ子』や『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』
とか大好きでした!

だけど小説を読むのは初めて。
物語はカメラマンのシオが、好きだけど定期的に会ったり
連絡先を交換したりといったような恋人関係ではない文雄との関係を続けるものの、
東日本大震災があって連絡が取れないことに不安になるうち、
違う男性とも付き合うようになってというような話。

林芙美子原作・成瀬巳喜男監督の『浮雲』って映画があるんだけど、
腐れ縁で続く男女の物語で、これも結局二人の関係は最後まで名前のない関係のまま。現代版『浮雲』って印象だった。

会話でテンポよく話が進むので、すごく読みやすい!
くすっと笑えるシーン、あるあるっていうシーンがあって、
文章はシンプルなのに、ディテールが細かくてわざとらしくないから、
すごくリアリティーがあった。

最後シオが選ぶ道が、ありきたりな家族に収まらない形で、
シオは自分の気持ちに正直に生きるうちに、流れるがままそういうところに行き着いたのが興味深かった。
シオがぜんぜん肩ひじはってる感じじゃないけど
現状の家族制度にあてはまらない家族の形で生きることに決めたの応援したくなった。


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